どちらかというと酷評な私が、つい先日一撃でレビューを書きたいと思った曲がある。
それが今回の『Deniro Farrar』の”Ain’t Got”という曲だ。
ミュージックビデオをどうするか?とビジネスミーティングをしている風景から始まるMVなのだが、「予算がどうのこうの」「売上がどうのこうの」と話していることに対して、
「そんなものは ”机上の空論”の戯言であって、俺たちはストリートだぜ?」と言わんばかりに大暴れし、最後には悪条件な契約書に相手自身にサインをさせるという痛快なストーリーにもセンスを感じる。
(※個人的な解釈を含みます)
トラックはというとクラシック音楽のサンプリングの上ネタが非常に不吉さを醸し出しており、イントロから緊張感が漂う。
ハイハットのサウンドが特徴的でかなり独特な鳴りになっており、楽曲自体の印象を作っているといえるだろう。
重低音の効いたバスドラとのコンビということもあり、いわゆる”ドンシャリ”なサウンドで聴き心地としてはかなりスッキリとしている。
個人的に厚みのあるスネアが好みであるため、この楽曲で採用されているスネアも正直にいうとあまり得意な方ではない。
それでもこの曲に惹かれたのは言わずもがな『Deniro Farrar』のラップにあるだろう。
ド頭からの被せも美しく、フローのドライブ感、ライミングが非常にタイトで圧倒的に”HIPHOP”を感じた。
そんなラップとトラックの相性が良く両者を掛け合わせると、それはまるで極上のお肉を岩塩で食べたようなサッパリ感と濃厚な味わいを楽しめる。
私的にはこれがクリティカルヒットであった。
大人になると安定や余裕を覚える。
しかし、そんな”ぬるま湯”に浸かっている時間など、人生中どこにもないのが昨今の時代だと思っている。
そんな連想すらもこの曲から感じ取っていた。
私自身、音楽から音楽以上の気づきがあることは大いにある。
皆さんはどうだろうか?
もしも、あなたにとってHIPHOPがそうであれば嬉しく思います。